平成25年12月20日(金)
株式会社システムフォワード
代表取締役 大内 一也 様
(聞き手:弁理士 鈴木 賢一)
鈴木弁理士
大内社長からは、前に会社員時代や創業時の苦労話、「感謝の貯金通帳」にまつわるエピソードなどもお聞きしたことがあります。その「感謝の貯金通帳」についても商標登録を完了しましたが、今回は商標「協力主義」に関してお話を伺いたいと思います。
ところで、この「協力主義」という言葉は造語、大内社長のオリジナルワードなのですね。私は始めにこの言葉を聞いて、一見馴染みがあるようで、それと同時に聞き慣れない言葉でもあるなと感じて、興味を感じました。この「協力主義」に込められた大内社長の想いとは、どのようなものなのでしょうか。
大内社長
私は会社員として14~15年、経営者として12年。従業員と経営者、両方の経験をしました。そのいずれの立場においても、評価という問題は必ず付いてきました。その中で、「そもそも何をもって評価するのだろうか?」という気持ちは常に持ち続けてきました。
果たして数字でしょうか?
いや、数字だけじゃない。数字にできない仕事もたくさんあります。
働く人々が全て個人事業主であれば、そのような心配は無用で、人の評価やマネジメントという問題は生じないかもしれません。しかしながら、現実は違います。
また、近年増加していると言われる鬱の問題などの背景には、常に競争、常に命令という環境があるのかもしれません。
そのようなことを考えて、最終的には「競争」よりも「応援」という考えが必要だなということを実感するに至りました。社員同士、社員と経営者、それらがお互いに応援し合って、助け合って、一つの物事を成し遂げる。そのような場合に評価というものはどうなるのだろうかという考えに至りました。
鈴木弁理士
個人プレーではなく、組織全体でパフォーマンスを上げるということですね。
大内社長
長年、仕事をしてきて感じた「評価」の意味とは、会社にいわゆる「できない社員」を置いておくための仕組み。逆に考えると、できる社員を会社に留まらせるための制度ではないように感じました。評価を基準に据えると、できる社員は評価が良くても「もっと良く評価してくれる会社はないか?」となる。そのような場合、できる社員はいずれにせよ辞めます。社員間の助け合いもなくなり、会社としての組織力が弱まってくる。
鈴木弁理士
最悪の場合、脚の引っ張り合いということも考えられます。
大内社長
そのようなことを経験してきて嫌になってしまった。仕事が楽しくない、そうすると、人生も楽しくない。そのようなことがあり会社員を辞めたが、まだその時は気が付かなかった。
会社を経営するなかでも感じました。給与をアップさせたとしても、社員に本心から感謝されることは少ない。評価の結果だから、上がって当たり前ということになってしまう。評価が上がり続ける人は稀で、人間だからアップダウンがある。評価が下がった場合のモチベーションの低下は、評価の下げ幅に留まりません。組織力の大幅な低下となってしまいます。そのようなことを考えると、評価を基準にした場合には、何かしら理由を付けて常に評価を上げ続けるしかないのです。
鈴木弁理士
評価される側、評価する側のいずれに立った場合においても、これまでの評価を絶対的基準にしたマネジメントには限界があるという認識に至ったということですね。
大内社長
数値で機械的に評価するなら簡単ですが、それができないから難しく、それで失敗している会社が多いと思います。そして、見えないところで行われている貢献をどう評価するのか、とても難しい課題だと思います。
「応援」や「協力」を基準にすると、会社自体が居心地の良い場所になり、従業員の姿勢もポジティブになり、全体のパフォーマンスも向上します。
成果主義が日本に導入されたのは1990年代。成果主義がこれまでもたらしたものは多くの不幸。これからは「協力主義」の時代です。いわきから日本、世界へとこれを発信したい。
鈴木弁理士
大内社長は、ビジネスプロデューサーという肩書きもお持ちですが、その活動はいつ頃から始まったのでしょうか。
大内社長
振り返って考えてみると、起業当時からそのようなスタイルだったのだと思います。
我々はシステムを販売するだけでなく、ビジネスの仕組み、成功への道筋を提供しているのです。EC(electronic commerce)サイトは成功への手段ですが、必ずしもこれに限定されるものではないと思います。
鈴木弁理士
ECサイトは手段の一つで、最も得意とする分野と手段ではあるが、ビジネスモデル構築を支援するのが㈱システムフォワードであり、ビジネスプロデューサーというわけですね。
大内社長
ECサイトは、基盤となるビジネスがあって初めて機能します。そこで働く社長の考え方、働く人、商品などいろいろありますが、そこから攻めていかないと売れないですよね。そこが既にできている会社はそこからサポートを始めることはないですが、多くの会社はそこがまだ不十分でないかと考えています。
ただの物売りではだめです。多くのECサイトは商品を右から左に安く流すだけ。在庫をお金に換えるだけ。そこには付加価値が付いておらず、価格の競争になってしまいます。それをやっているだけでは大手には勝てません。考え方自体を大きく変える必要があるのです。
鈴木弁理士
御社の提供するECサイトのビジネスモデルの裏にあるのが、これまで御説明のあった「協力主義」や「ビジネスプロデューサー」の考え方なのですね。
大内社長
そしてそれに加え、資産を創っていくという考え方です。すなわち顧客資産ですが、ビジネスの基本として、お客様と直接繋がらないとだめなのです。これがないと、お客様に対してなすべき適切できめ細やかな提案もできません。画一的な提案しかできないというのは、商売の原理原則から外れて
いると思います。言葉を変えると、お客様のことを真剣に考えていないということです。ビジネスの基本に立ち返らないと、生き残れない時代になっている。
鈴木弁理士
共感する考えが非常に多いように感じました。
話を少し変えまして、大内社長がこれらを商標登録をしようと思ったきっかけはなんでしょうか。
大内社長
私自身、自分のビジネスについて、その大切な商標をきちんと商標登録することで、自分の心のスイッチがオンになるような気がしています。やる気になるし、事業のスタートが少し遅れたとしても、決してそのビジネスを忘れることはありません。
鈴木弁理士
私も、事務所名やロゴマークを商標登録していますが、当事務所のロゴマークは理念に関与する人々、これは内部外部を問いませんが、それらの人々をまとめる旗印(フラッグ)を象徴しているんです。大切なネーミングやロゴの模倣防止や、商標権侵害として訴えられないように大切な事業を護るという大きな役割の他にも、対外・対内の多面的な役割が商標登録には存在しますね。
大内社長
「いわきから日本へ、さらに世界へ」という気持ちですが、少なくとも外部への展開を行おうと思うと、抑えるべき権利をしっかり管理していないと、安心して仕事ができませんね。
鈴木弁理士
特に、インターネットがビジネスの常識になった現在では、自分の意識を超えて舞台は拡張しています。予め、様々なリスクに備える必要性は高いですね。
しかしながら、これまでのお話を聞いて、お話の多くの部分が当事務所の基本的考えと重なるように感じました。企業は、決算書に載る以外にも、いわゆる「見えない資産」を持っています。付加価値創出においては、これらの「見えない資産」こそが益々重要になってきています。それは人的資産・構造資産・関係資産などです。
大内社長の基本的な姿勢は、これらの資産の重要性について説いているようにも感じました。
大内社長
これまでの考え方を変えることは、人的資産など重要な経営資産を護ることにもなります。それに気付いてほしいというのが「協力主義」の考えの一つです。
鈴木弁理士
大内社長、貴重なお時間を拝借しました。
ありがとうございました。
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